「マハーラーシュトラ州におけるダリトの実像:その社会的・歴史的多様性」
“Dalits in Maharashtra: Their social and historical diversity”
日時:2015年12月12日(土) 13:00~18:30
会場:龍谷大学深草キャンパス 和顔館(わげんかん)4階・会議室2
[深草キャンパス・アクセス]
http://www.ryukoku.ac.jp/about/campus_traffic/traffic/t_fukakusa.html
【研究会趣旨】
被差別集団を意味する「ダリト」の語は、マハーラーシュトラ州で活動したB.R.ア
ンベードカル等によってンド全土で広く用いられるにいたった。独立後、留保政策に
よってダリトの多くが指定カーストに認定されると、この語はそれまでの社会・文化
的な意味に加えて,あたかも単一の利益集団であるかのように政治的な意味合いを獲
得することになった。しかしながらアンベードカルの結党したインド共和党の分裂や
近年の留保政策の行き詰まりは、ダリトを政治的な単一集団とみなすことの限界を示
していると思われる。
ダリトと呼ばれる人々は,その信仰・慣習の形式や、社会・経済上の位置、政治・
思想の動態などにおいてあまりにも多様であり,単一の概念として捉えきれるもので
はない。本セッションは,その内部に諸集団を包摂する「ダリト」という概念を再検
討し,彼らの多様性について考えることで,これまでの「ダリト」像に修正を迫る。
ダリト研究は、アンベードカルを生んだマハーラーシュトラにおいて研究が蓄積さ
れ,我が国でも小谷、内藤らの先駆的な試みが存在する。本ワークショップでは、こ
れらの研究に基づきつつ,この地域を専門とする諸分野の発表者が、文献学、歴史学
(社会経済史・社会思想史)、人類学の立場からダリトの多様性を検証する。具体的
には、各発表者が、アンベードカルの出身カーストであるマハールを中心に、マハー
ラーシュトラのダリトに注目し、彼らが他者からどのように捉えられ、また自らをど
のように語ってきたのかを分析することを通じて、彼らの多様性を支えてきた社会・
文化・歴史的背景を明らかにしていく。
代表・報告者
小川道大(東京大学人文社会系研究科/人間文化研究機構・研究員)
報告者
足立享祐(東京外国語大学総合国際学研究院・研究員)
飯田玲子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・特任研究員)
井田克征(金沢大学国際文化資源学研究センター・客員研究員)
小磯千尋(大阪大学外国語学部・非常勤講師)
コメンテーター
篠田 隆(大東文化大学国際関係学部・教授)
中村尚司(龍谷大学人間・科学・宗教総合研究センター 研究フェロー)
【プログラム】 (司会:小川道大)
13:00~13:15 小川道大「趣旨説明」
13:15~13:55
小磯千尋「ワールカリーサントの浄・不浄観とダリト」
13:55~14:35
井田克征「ケーシャヴ・ナーヤクの井戸:中世聖者伝におけるダリト像」
14:35~15:15
小川道大「18-19世紀のマハール集団の内部構造」
(15:15~15:30 休憩)
15:30~16:10
足立享祐「『尚武の民 』理論とマハール募兵問題―カーンブレー Shivram Janba Ka
mbleの活動を中心にー」
16:10~16:50
飯田玲子「タマーシャーの継承と再生産―タマスギールとは誰のことか?」
コメント
16:50~17:05 篠田隆
17:05~17:20 中村尚司
(17:20~17:30 休憩)
17:30~18:30 全体討論